自分の身体の変化を通して、
洗腸を行う意味がわかってきました
松永さんは、二分脊椎という病気にて、普段の生活は車イスで、家の中では多少の歩行が可能なため歩いて過ごしています。排泄機能障害がありますが、お仕事中は会社の多目的トイレを使用しているため、パッド交換の際なども特には困っていませんでした。今までの排便管理は週1回の摘便と週2回の洗腸でした。ただ、水漏れがあったり疲労感があり洗腸を行う意欲があまり沸きませんでした。
対談動画:松永大護さん×静岡県立こども病院 泌尿器科 濱野敦先生(インタビュアー)
(12:54)
松永大護さんと主治医である静岡県立こども病院 泌尿器科 濱野敦先生の対談です。
排便管理を見直すきっかけ、新しい管理方法での工夫やその後の変化などについてお話いただきました。
排便管理の方法を見直すきっかけ
今までは、手で押さえるタイプの洗腸を行っていました。途中で水が漏れてしまって、便が上手く出きっていない感じがしていました。そのときは、意欲ももてず、あまりやりたくないなと思っていました。終わってもお腹に便が残っているような感覚でした。そして長時間便座に座りながら、自分の手で押さえるため、結構力が必要で、疲れてしまっていました。そのことを先生に相談したときに、バルーンのタイプの洗腸があると教えてもらい、試したところ、やりやすいと思い、今はバルーンタイプの洗腸をしています。
現在の洗腸方法の工夫について
洗腸は週に2回、洋式の便座に座って、自分自身で行っています。家族の協力も得ながら、トイレの壁にS字フックをかけています。道具をひっかけておいて、ポンプは自分の手元に置いています。注水の量は大体800mlくらいを入れています。30分くらいかけて準備と水を入れ、その後30分かけて便が出きるまで座るため、1時間ぐらいかけて洗腸しています。最初は短時間で早く終わらせてスッキリしたいと思って、30分かけずに短時間で沢山水を入れてすぐに出すということも試してみたのですが、洗腸後に寝たり起きたりした際にパッドに便が多く出てしまって不快感がありました。ゆっくりやってみたら、パッドにも漏れずにできたため、この方法が自分の身体にあったいると実感したため、この1時間かける方法で実施しています。今のところは、便失禁は全くないです。
あとは工夫として、冬場はあらかじめ40度くらいのお湯で準備しています。30分待っている間は、下半身の感覚がわからないため、毛布や靴下を履いたりして寒さ対策をしています。
洗腸をするうえで、困った経験
バルーンをどのくらい膨らませるのが自分にあっているのか、わからなかった。あと、バルーンが途中でしぼむことが数回あり、800ml入れるうちの500mlの段階でしぼんでしまい、その時点で水と便が出てしまい、結局3回やり直したことがありました。その時はちょっと大変でした。
新しくチャレンジできるような生活の変化
僕自身は趣味でスポーツをやっていて、遠征する機会が多いのですが、そこで持ち運びやすい排便の道具があると、走りにも影響しますし、生活においても腸による膀胱の圧迫がなくなったようで尿失禁も少なくなりましたので、すごく助かっています。今は車イス陸上で静岡県代表として去年国体の選手として選ばれました。去年は鹿児島の国体に遠征し、1週間滞在したのですが、その時も持っていき、空き時間に洗腸を行いました。今年はこれから京都駅伝に出場する予定なので、洗腸とは長い付き合いになっていくのかなと思います。
自分の心の中に起こった変化
今まで洗腸を行う意味が分かっていなかった部分があり、目的をないがしろにしていました。なんで肌が荒れているんだろう、なんで尿が漏れやすいんだろう、と思っていてもその理由がわかっていませんでした。今は洗腸を行うことで、体調が色々と改善していくことを、自分の身体をもってわかってきました。やはり自分の身体なので、やった方が良いのかなと実感しています。
インタビュアー :静岡県立こども病院 泌尿器科 濱野敦 先生
プロフィール
松永 大護
21歳/会社員/二分脊椎
会社員として週5日勤務。現在は車イス陸上で静岡県の代表として国体選手に選出される。