排便障害に悩む子どもを助けたくて、
経肛門的洗腸療法と出会った
排便障害を解決する方法を探すため、クイントと彼の両親は多くのことを経験してきました。そのなかで彼らは経肛門的洗腸療法に出会い、今もこの排便管理方法に満足しています。子どもへ経肛門的洗腸療法を成功させて長続きさせる方法について、ご両親の思いと共にお聞きしました。
経肛門的洗腸療法との出会い
12歳のクイントは、生まれつき二分脊椎という障害を持って生まれました。私たちは、クイントが成長する過程で、歩いたり走ったりする能力だけでなく、排便の管理にも支障が出ることに気づきました。
クイントの最初の数年間は、おむつをしていたので、排便管理は問題ありませんでした。しかし、成長するにつれ、長期的な排便管理が必要となり、経肛門的洗腸療法を導入することになりました。クイントが治療を始めて8年になりますが、初めて治療を受けた日のことは、永遠に忘れません。
医師から排便障害の問題を聞かされ、治療を始めることになりました。親としては、それはわからないことだらけでした。「どうすればいいのか?」「どのように管理し、実施するのか?」「実際にどうするのか?」「いつするのか?」などという疑問がたくさんありました。
一方で、我々両親の不安をよそに、ぬるま湯を経肛門的に注入するこの治療を、クイントは嫌がらずに受入れていました。
実際、この治療はクイントに合っていましたし、良い面に目を向けるようにしました。
洗腸によって当たり前の日常が可能に
経肛門的洗腸療法は、より排便をコントロールしやすく、24時間おしりを清潔に保つことができます。便失禁の心配をせずに学校に行ったり、何かをしたりすることができます。そのおかげで、クイントは他の子供たちと同じような普通の生活を送ることができるようになりました。
クイントはサッカーが大好きです。他の子どもたちのように走ることができないので、自分でプレイすることはできません。でも、サッカーを見るのも好きなんです。また、旅行や新しいことを発見するのも好きです。動物園や遊園地に行くなど、日帰りで出かけるのが好きなんです。
子どもとの日課に取り入れ、自立へ
元気いっぱいの子どもをじっとさせるのは、たとえ数分でも難しいものです。では、どうすれば治療の間、子どもの動きを止めさせることができるのでしょうか。私たちは、クイントを退屈させないために、さまざまな種類のエンターテインメントを用意しました。テレビや映画を見ているときは、クイントはじっと座っています。大きくなるとゲームに興味を持つようになったので、ゲームを与え、その後、タブレットを購入しました。宿題をすることもあります。
自立に向けて、徐々にクイントを巻き込み、経肛門的洗腸における役割分担を進めていきました。水を入れる、カテーテルを入れるなど、少しずつ分担していきました。もうすぐ思春期を迎えて、私たちの手からだんだんと離れていくでしょう。
親御さんへのベストアドバイス
経肛門的洗腸療法をどのように進めていけばいいのか、迷うこともあると思います。
子どもはみんな違うので、自分に合ったやり方を見つけるには、試行錯誤するしかありません。私たちがうまくできたことを共有することで、同じような状況にある親御さんのお役に立てると嬉しいです。
- これから何が起こるのか、痛くないことを伝える
- 私たちはいつも「さあ、これからあれをするよ、その次はあれをするよ」と言い、次に何が起こるか示すようにしました。
- 今の気分について、その都度確認する
- 「どんな感じ?痛みはある?何か嫌に感じることはある?」とその都度質問をすることで、良い、穏やかな日常生活を送れるようにしました。
- 経肛門的洗腸療法の良い結果に注目する
- 治療によって便失禁が減り、子どもが一定期間清潔を保てるという、この治療がもたらす良い結果に注目するようにしました。
- 子どもの気を紛らわせる
- 洗腸中は、映画や宿題、ゲーム、本を読むなどして、子供の気を紛らわせました。
- ほめて、励ます
- 洗腸が終わったら、子どもをほめ、励ましました。私たちはよくクイントに、「よくやったね!」と声をかけています。
- ご褒美をあげる
- 洗腸をしたらポイントを獲得できるようにゲームのような工夫をしたり、上手に出来たときにご褒美をあげるのもいいですね。
プロフィール
クイントとそのご家族
12歳/学生/二分脊椎
生まれつきの二分脊椎症により、運動機能障害や排泄障害のケアに日々取り組んでいる。医師の勧めにより経肛門的洗腸療法を始め、両親の手を借りながらも、自らの手でできるように練習中。サッカー観戦と旅行が大好き。家族で動物園や遊園地などに日帰り旅行に出かけ、新しい発見を楽しんでいる。