ストレスがない自分なりの排泄管理を
見出しました

植田さんは10年前に脊髄くも膜下出血を発症されてから、長らく排便と排尿に関するお悩みを抱えていました。医療者との出会いから、ご自身にあった排泄の管理方法を見出すことができ、現在は仕事と家庭を両立しながら、リハビリを兼ねて趣味であるキックボクシングやダンス、テニスなど日常生活を楽しまれています。

対談動画:植田香織さん×慈恵会医科大学病院 泌尿器科 古田 昭 先生(インタビュアー)
<前編>(13:33)
<後編>(13:55)

植田香織さんと主治医である東京慈恵会医科大学附属病院 泌尿器科教授 古田 昭 先生との対談です。
前編では今までの排泄に関するご経験とお困りごとについて、後編では現在の排泄管理と身体や気持ちの変化について、お話いただきました。

脊髄クモ膜下出血を発症してからの経過

約10年前に脊髄クモ膜下出血になり、慈恵会医科大学附属病院に搬送され、血管の検査を6時間、手術を6時間、計12時間にも及ぶ治療だったと家族からは聞いています。

手術後は肩から下が動かなくなり、どうなるかと思いましたが、今は外見上ではわからないくらいまで、普通に過ごすことが出来ています。後遺症は手術した場所の胸部から下は常にしびれている状態です。しびれに関しては、お薬を飲みながらコントロールできています。もう1つの後遺症として、排尿と排便が自力で出せなくなりました。

排泄の状況について

尿意や便意は、ギリギリになったときに感じるくらいです。最初の頃は、骨盤底筋がゆるくなってしまい、尿や便が勝手に出てしまっていました。そこで、皮膚・排泄ケア認定看護師の方に相談したところ、骨盤底筋のリハビリなどで少しずつ改善していきました。お薬も効果がありました。最初はうまくいかなくて心配でしたが、看護師さんに心のケアもしてもらいながら、日々のこととして慣れてきて、気持ちは楽になってきました。

自己導尿は、入院中から教えてもらい少しずつ慣れていきました。ただ、教えてもらったやり方よりは、自分がストレスにならないような方法を見つけて実施しています。

実生活における排泄のお悩み

職場は女性が少ない会社で、以前いた研究開発部門では工場や外出先に行くことがあり、トイレ環境がよくないことも多く、男性が多いことから自分の身体のことも言えず、骨盤底筋が緩いときは困りました。尿漏れ便漏れがコンスタントに起きてしまい、悲しくなることがありました。最近は慣れてきて、上手く付き合っていき、だいぶ上手にコントロールが出来るようになりました。

排便の管理の変化について

最初のお薬ではコントロールができずに困っていました。そこから皮膚・排泄ケア認定看護師に相談し、古田先生に診てもらうようになり、治療方針を教えてもらいながら、自分に合わせて進めてくれたので、不安が解消されました。自己導尿も洗腸も、最初に指導を受けた時には、皮膚・排泄ケア認定看護師に排泄しているところを見られることにかなりの抵抗がありました。ただ、実際を見て確認頂かないと先に進まないので、大変だなとは思いましたが、結果的には良かったです。

家族の理解について

洗腸の機器を家に持ち帰るときは、自分としては大がかりなものを持ち込むことになると思い、家族の反応が気になりましたが、普通に受け入れてくれました。特に何も言うことなく、家族が家で洗腸ができる環境を作ってくれました。洗腸時にはトイレの時間が長めになるので、事前に声をかけて、行きたい人は先にトイレに入ってもらっています。

現状の排泄管理について

自己導尿は1日3-5回、趣味のキックボクシングなど運動する前には必ず導尿します。通常は決まった時間に導尿しています。水分の調整は特にしていないです。洗腸は3-4日に1回のペースで行っており、家で夜に実施しています。3-4日や1週間くらいの旅行の際には、市販の浣腸を持参しています。基本的には、出かける1日前に洗腸をするとスッキリきれいに排出できるイメージがあります。外出時の導尿は、廃棄は生理用品と同じようにできるのですが、ビニール袋を持って、カテーテルを持ち帰ることがあります。導尿カテーテルは、外出時は親水性コーティングではないカテーテルを使うことが多いです。柔らかく丸めてコンパクトになるからで、潤滑剤は塗らずに使用しています。家では親水性を使っています。そちらの方が短時間に量を出せると思っています。気持ちの問題かもしれませんが、以前だと力を入れて排尿していたのが、親水性だと腹圧をかけずに短時間で出ています。特に朝は寝ている間の尿も多くたまっているので、個人的には親水性の方が良いと思っています。

排泄のコントロールができてからの日常生活の変化

自分が行きたいときにトイレに行けること、自分のタイミングで排泄できることが良かったです。それにより予期しない失禁も改善してきました。今は、リハビリを兼ねて、なるべく身体を動かすようにもしていますし、キックボクシングやダンス、テニスなどを楽しんでいます。

同じお悩みをお持ちの方へのメッセージ

自分も悩んだ当初は、色々調べましたがうまく探せず、他の方がどういう感じで自己導尿や洗腸などをしているのか、ほとんど情報がありませんでした。先生や看護師さんとお話をして、はじめて同じお悩みの人が多いと知りました。SNSが発達してる世の中でも、なかなか発信されていないと思いました。洗腸も自己導尿も実際にやってみると意外と日常生活には何とか慣れるもので、時間はかかるかもしれませんが、自分のやりやすいストレスのない方法でチャレンジできるのではないかと思います。そうすることで周りの理解も得られると思います。洗腸や自己導尿はツールの1つだと思っています。

主治医の古田先生からのコメント

植田さんのお言葉通り、まだまだ導尿も洗腸も知らない方が多くいます。特に洗腸は医師の間でもあまり知られていません。今の時代はSNSの発信も良いと思いますし、このような動画を観て頂くことで多くの方に知って頂きたいです。導尿も洗腸も実施することで生活の質(QOL)が上がり、普通に生活ができるようなレベルに近づけることもできますので、是非お近くの医療機関にご相談してみてください。

治療できる病院 | スッキリ排便.jp | 脊髄障害等で排便にお悩みがある方向けの情報サイト

インタビュアー:東京慈恵会医科大学附属病院 泌尿器科教授 古田 昭 先生

プロフィール

植田 香織

51歳/会社員/脊髄障害(脊髄クモ膜下出血)

植田さんは、ご家族(夫と大学生の娘が2人)と暮らし、会社員として昨年の3月までは研究開発部門、現在は管理部門で働いています。